更年期障害

更年期の身体の変化を知りうまく付き合って、人生の素敵な次のステージを迎えましょう。

1.更年期障害とは

更年期とは性成熟期(20~30代頃)と老年期(60~70代頃)の間の移行期を言います。

更年期障害とは、更年期の様々な症状のうち生活に支障をきたすような状態を言います。

更年期に入ると卵巣機能が低下し女性ホルモンが急激に減少します。脳は「ホルモンを出せ」と命令しますが、機能が低下しているため十分な量を出せません。

それでも脳は「もっとホルモンを出せ」と興奮し続けるため、自律神経にも影響を及ぼし、生活に支障をきたすほどの症状が出ることがあります。

2.更年期障害の症状

 卵巣機能の低下(女性ホルモンの低下)は誰にでも訪れますが、それによる症状の現れ方は千差万別。ひとりひとり症状も重症度も違います。

 あまり不調も感じないうちに終わったという方から、症状がつらくて生活に支障をきたすような方もいらっしゃいます。それは、家庭や社会的環境の変化や心的ストレス、性格的なものも相互に関与しているからとも言われています。

 ここでは更年期障害の代表的な症状をご紹介します。

①卵巣機能が徐々に低下し閉経する更年期前半期の症状は主に自律神経の乱れによる症状

・血管運動神経症状

発汗、のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、手足の冷え、動悸、息切れなど

・精神神経症状

イライラ、焦燥感、憂うつ感、不眠、頭痛、めまいなど

・知覚神経症状

手足のしびれ、手足の感覚が鈍くなるなど

・運動器官への症状

疲れやすい、肩こり、手足の痛み、腰痛など

 

②閉経後の更年期後半期から老年期は女性ホルモンそのものの低下による症状

・コラーゲンの合成が低下

萎縮性膣炎(不正性器出血、性交痛、陰部の痒み)、子宮下垂、子宮脱、性交障害、尿失禁、皮膚のシワたるみ

・高脂血症・心血管系疾患

高コレステロール(LDLコレステロール↑)、動脈硬化、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞

・骨量減少・骨粗鬆症 

3.更年期障害の診断

 一般的には婦人科を受診し、血液検査でホルモンが更年期のパターンになっているかどうかをみて診断されることが多いです。(更年期外来や女性外来がある施設もあります。)

 しかし中には、症状に合わせて各科を受診しても異常がなかったため更年期障害を疑い、婦人科や専門医を訪ねて更年期障害が発覚するパターンもあります。

 更年期障害のチェックリストがあるので、受診の目安になさってください。

4.女性の一生と更年期

 40~50代の女性は家庭でも社会でも重要なポジションにいる世代です。

 家庭では、子どもの成長(思春期や受験など)や独立、夫の仕事環境や定年、親の病気や介護、死など変化が大きい頃です。

 職場でも経験や能力によって責任の大きい仕事を任される世代でもあります。

 家庭の主婦の方も、仕事を辞めて家庭に入った女性も、仕事も家庭もこなしている女性もそれぞれにストレスを抱える中、自分の体の変化と付き合っていくのは大変なことです。

 そんな更年期の身体と上手に付き合っていくにはどうしたらいいのでしょうか?

 次の章で予防方法を見ていきましょう。

5.予防方法

①早めの予防対策~早すぎると言うことはない~ 

 20代、30代の若年性更年期障害が増えています。本来なら、腎精(ここでは女性ホルモンと考えて良いでしょう)が充実している時期ですが、気分の落ち込み、イライラ、発汗、ほてり、手足の冷え、生理周期が不安定などの症状がみられます。

 原因として、過度なダイエットや、不規則な生活、ビタミン・ミネラル不足の食事の他に初潮年齢が早いことが考えられます。

 女性として一番充実している年代です。生活習慣や食事を見直し健康で若々しく活動して欲しいと思います。

≪すぐできる対策≫

・ダイエットをするなら、運動や酵素飲料などを活用して健康的にダイエット

・十分な睡眠 (睡眠不足はホルモンバランスが崩れるもとになります)

・ビタミン・ミネラルなども意識して、栄養バランスの良い食事を心がける

 (空腹を満たすだけの食事は、疲れやすい、冷え、生理痛、肌荒れ、イライラなどの

 原因にもなります。)

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※個人の体質等に合わせて組み合わせと飲み方のアドバイスが変わりますので、来店しての相談をおすすめします。

 ②かかりやすい人とかかりにくい人の差

   前に述べたように、更年期の症状は 家庭や社会的環境の変化や心的ストレス、性格的なものも相互に関与していると言われていますが、それ以前にそういう様々な変化に対応できる基礎的な体力の差が大きいのではないかと思います。

≪すぐできる対策≫

・気分転換になる趣味を持つ 

 (若いうちから趣味をもっていると、年をとって楽しむことができる)

・少々のストレスに負けない基礎体力をつける

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 ③生活習慣病のリスクのこと

 女性の健康は女性ホルモンで守られています。それは、次の世代を作るという大きな役割を担っているからです。卵巣機能が衰え、望んでも子どもを産むことができなくなる年代になると、女性ホルモンの守りから外れ男性が罹りやすかったような疾患が増えてきます。それを最小限に抑えるために、閉経前の生活習慣、食習慣などを見直してみましょう。

≪すぐできる対策≫

・規則正しい生活、適度な運動

・糖質や脂肪の多いもの、乳製品を控えめに栄養バランスの良い食事

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  ④骨粗鬆症対策

  骨粗鬆症予防のために骨貯金をしておくことです。骨量は35歳くらいがピークで、

 徐々に減っていきます。

(骨量減少のグラフは、女性ホルモン減少のグラフと似ています)

≪すぐできる対策≫

・カルシウムを多く含む食材を意識して摂り、不足する分はカルシウム剤で補う

 (最低650mg、それ以上が望ましい)

・カルシウムの吸収をよくするために、胃腸を丈夫にする

・日光に当たり、ウォーキングなどで骨を刺激する

・UV対策を完璧にしない

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 ⑤ストレスを上手に解消

≪すぐできる対策≫

ご自分を大事にして好きなことをするのが一番です。

どうしていいかわからないときは、先ずは笑う。

口角を上げるだけでも効果ありですが、わっはっはと声に出した方がもっと良いです。

呼吸も浅くなっているので、深呼吸する。

「氣」の流れが滞っているので億劫でも身体を動かしましょう。

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とは言え、防ぎきれないのが病気というものです。

もし更年期障害になった場合どのような治療法があるのか、次の章で見ていきましょう。

6.治療法

代表的な治療法をご紹介します。

それぞれにメリット・デメリットがあります。順番に見ていきましょう。

①ホルモン補充療法

 更年期障害、閉経、卵巣摘出後のエストロゲン欠乏を補う目的で、エストロゲン、プロゲステロン(黄体ホルモン)を投与する治療法です。症状や子宮の有る無し、によって使うホルモン剤が異なり、飲み薬、貼り薬、塗り薬などいくつかのタイプがあります。

 デメリットとしては、吐き気、むかつき、頭痛、眠気などの副作用がでることがあります。また外から人工的に補充するので、一度始めるといつ止めるかということも考える必要があります。

 

②漢方薬・サプリメント

 漢方の世界は数千年も前から自然のルールに従って、ひとの命の営みを観ています。現在のように便利な検査機器がない時代だからこそ、ひとと自然の関係や臓器同士の関係、こころと身体の関係、生活習慣や食事、棲んでいる地域の気候風土などを考慮し、「人が生きていることを全体的に捉えて」いく医学です。

 漢方の世界では、ひとが生を受けたときから、死ぬまでを腎の盛衰でみており、女性の更年期を腎精と血(けつ)の衰えと捉えています。

 更年期の症状は千差万別なので、このタイプの症状にはこの漢方薬という簡単な法則はありません。あなたのための漢方薬を、経験豊かなところでお求めになることをお勧めします。

 当店では来店相談だけでなく、メール相談・電話相談も受け付けています。直接の来店が難しい方も気軽にご相談ください。

 サプリメントは栄養補助食品、健康補助食品のことで、不足している栄養素やハーブなどの成分を補うことで効果が期待できるものです。

 有効量など規制が緩やかなので、信頼できるものを信頼できるところでお選びになることをお勧めします。

 

③運動・食生活

 適度な運動の習慣は更年期症状の緩和にも生活習慣病の予防にも有効です。

 楽しんで継続できるものがお勧めです。もちろん若い頃から慣れ親しんだスポーツなら是非お続けください。

 有酸素運動は加齢と共に低下する基礎代謝を上げるためにも有効的なので、酸素を十分に取り入れることのできるウオーキング、ジョギング、水泳やヨガ、ダンスなどが良いでしょう。

 下半身の筋肉を鍛えておくことは、腰痛膝痛予防になりますし、いつまでも自分の足で歩くためにも大事です。ぜひ下半身を鍛えることも意識して運動なさってください。

 食事はもちろん「ビタミン、ミネラルなどバランスの取れた食事」が基本ですが、閉経前後は高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や骨粗鬆症に気をつけたいので、甘いものや炭水化物は控えめにして和食中心がお勧めです。不足しがちなタンパク質やカルシウムは意識して摂りましょう。

7.まとめ

 女性には、子どもを産み育てるというとても素晴らしい機能が備えられています。その機能を使う意思や、使うことが可能か不可能かということは別にして、もし授かった子が女の子であれば、その子のおなかの中の次の世代(孫)にまでも関与している壮大な世界があるのです。そして、そのために女性ホルモンが女性の健康を守っています。

 やがて、女性ホルモンの守りから外れる時が来ると様々な変化の波が押し寄せてきますが、それは困ったことではなく、女性の一生のターニングポイントでもあり、次のステージを活き活きと楽しく生きていくための見直しの時期でもあるのです。

 西洋医学でみる女性の一生、東洋医学でみる女性の一生は表現方法は違っても同じことを言っています。

 私は、女性の身体がとても健気で愛おしいと思います。ですから、年を重ねても女性が楽しく健康で生きられるよう、精一杯お手伝いしたいと思っています。

 気になる症状がある方、女性薬剤師がお一人お一人に合ったアドバイスをいたします。

 明るくすてきな未来に向けて、一緒に歩き出しませんか?

店頭での更年期障害の相談は事前予約をお願いしています。